Adobe Extension Manager に学ぶ、柔軟な機能拡張

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Adobe Extension Manager CS4
エンタープライズシーンでのパッケージ型ソフトウェアの提案において、お客様の要望がパッケージ機能に無い場合、ほぼ必ずと言っていいほど出くわす問題が、カスタマイズの可否。

カスタマイズとは初期状態のパッケージに対し、追加プログラミングや設定変更などの手を加えて機能を付け加えたりすることですが、この場合、一般的にカスタマイズ工程の分だけ費用が上がる問題と、パッケージと初期状態と比べてある種の「改造版」みたいな位置づけになってしまうために保守の可否という問題が出てきます。

要望を満たさなければ機能面での競争力は落ちる。かといって、カスタマイズをすると価格競争力と保守の面で問題が出てくる。という悩ましい問題がベンダーを苦しめます。

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・・・と、ここで僕が最近よく思うのが、「コンシューマー系ソフトでよく見られるアドオンやエクステンション(拡張機能)と言った方式を導入すれば、こういった悩みは一発で解決するのでは・・・?」という考え方です。

簡単に言ってしまえば、付け加えたい機能は単純に「外部ファイル」として提供・配布されていて、そのファイルと連携することで簡単に機能を追加することができる、といったものです。

これなら、パッケージソフト本体はあくまで無傷のままなので、初期状態の保守内容と何ら変わることもなく、当然、機能を拡張する工程も単にファイルを組み込むだけなのでほぼ皆無。

また、これはコンシューマー系ならではかもしれませんが、何よりも良いのが、世界中の有志が機能をどんどん開発・提供しているので、ニーズの高い機能であれば、まず間違いなくオンライン上で発見できること(もっとも、これにはパッケージ本体側が第三者によるエクステンション開発のための情報公開をしていることが前提ですが)。

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たとえば、Adobe社のCreative Suiteは初期状態の時点で既に強力なアプリケーションをずらりと揃えていますが、さらにExtension Managerを活用してエクステンションを取り込むことで、さらに機能を拡張することができます。もちろん本体自身には手を加えているわけではないのでアップデート等のサービスも通常通り受けられます。

また、FirefoxというWebブラウザが急速に普及した理由のひとつが、アドオン(拡張機能)の採用により、ユーザが自由にブラウザをお好みの形に育てることが可能であったことが上げられると思います。

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いたずらにカスタマイズしてパッケージを肥大化するのではなく、本体は無傷のまま外部と柔軟に連携しながら最適な形を提供していく・・・。こんな、ある種の着脱可能な仕組みがビジネスシーンにおいても必要なのかもしれません。