- 賞よりも嬉しかったのは、やっぱり「俺の作った物が、俺の大切な人に、少しでも感動を届けられたこと」だった。
渡り鳥の目は、俺の何年にも渡る旅の中で見てきた風景と、そこで出逢った大切な人への俺の想いを映し出している。-
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北海道在住のプロクリエイターを対象としたあらゆるジャンルのデザインコンテスト、
「札幌アートディレクターズクラブ(Sapporo-ADC) Annual Competition and Awards 2002」
そのWEB部門に、実はこっそり鳥目を出展してました。夏が終わる頃の話です。
そして、出したことを忘れかけるくらいに仕事の波に飲まれ、自分でも認めざるを得ないほど憔悴しきっていたこの連休(9月14〜16日)に、札幌某所にて公開審査が行われ、結果、鳥目は銀賞と会員審査賞の2つの賞を頂きました(金銀銅と会員審査賞は応募作品の中からそれぞれ1作品ずつ)。ちなみに公開審査の頃、俺はとある街で最後の踏ん張りを効かせながら仕事をしていました。
出展するまでに、あまりにいろんな事があって、大切な人を失って、挙句はV8という夢も捨て去って・・・正直、応募すること自体を諦めようかとずっと思っていました。でも、どんなに惨めな姿を晒してもいいから、とりあえず最後まで完走しよう。そう思っての応募でした。
嬉しい。もちろんとても嬉しいです。でもそれ以上に、上手く言葉で言えない想い・・・どちらかというと切ない風が、今も俺の中を吹き抜けています。喜びの言葉が出ない代わりに、俺の心に吹く風は、俺の顔に拭い難い表情を彫り付けていったのかもしれない。
〜2002年の年が明けた真夜中。
カローラを道の脇に止めて、俺は仲間に今年の目標について珍しく熱く話していた。
俺達が思い描いていた夢の中では、「いっちょデカイ賞でも取って、それをキッカケに、自分達がやりたい事を何でもできる場所、そして仕事の楽しさと手ごたえ感をもっと感じられる場所、"自分達のショップ"を模索しながら作ってくか!」だった。
けれど、今は・・・行動を起こすには、今の俺は一人ぼっちで、そして少し疲れてしまった〜
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そして、俺は、東京に行こうと思います。
半年前とはほぼ正反対の結論です。独立ではなくて、この会社の中にまだ留まっているのだからね。今はもう迷いはない・・・とは言いきれないけれど、いや、あまり考えないようにします。
傍目には栄転と移るのかもしれない。俺自身、入社当初は東京にとっとと行きたかった。でも、時を経た後、そして、何よりもこの歳に至ってもなお自分の可能性が止め様のないほど膨らんでいく奇跡を実感している今、必ずしも「東京」や「本社」だけが自分の進路ではないように感じつつありました。
そして、今年の目標「コンテスト入賞とショップ立ち上げ準備」という目標の半分を自分の手でかなえた今、正直、東京が以前のような煌きを放ってはいなかった・・・。
それでも東京に行くことを選んだ理由・・・
・今の俺は一人ぼっちで疲れていて、ショップを立ち上げる元気が失われてしまった。
・また元気が戻る時まで、とにもかくにも生きていかなくてはならない。
という、どうしようもないほど後ろ向きな理由です。要するに、食ってくために会社員であり続けるわけだから。これについては、もちろん軽蔑されてしかるべきで、我ながら情けない人間に成り下がったな・・・と思います。
前向きな理由・・・
・19歳の頃、全てを捨てて異国の地・京都に旅立った時の心境に少し近い。
(今回は京都のときほどには全然深刻じゃないけれど)
・京都の文化に興味があったのと同様、東京の文化にもたしかに興味がある。
・「インターネットの可能性を切り拓きたい」という情熱は今もあるから。
とまあ、旅人としての視点は今も失われていないみたいで、そういった「地平の先を目指す気持ち」だけが今の俺を動かしているんだと思います。
この件については、随分前から悩んでいたことでもあるし、また追々話します。結局はインターネットの可能性を切り開くのは会社の「上からの力」ではなくて、俺や個人1人ひとりの「下からの力」だから。
という訳なので、受賞した事はもちろん嬉しいけれど、今はあんまり浮かれてはいません。まず好きな人、次に親、同期たち・・・大切な何人かの人たちに速報という形で伝えたけれど、自慢というよりは、「こんなクソ忙しい日常の中でも、自分とか夢とか捨てんなよー」という俺のメッセージ・・・独り言として、誰かを勇気付けることができるなら幸いです。押し付ける気は毛頭ないけど、ウルサイ説教よりは、こうした実例の方がジーンと染み渡るように希望とか可能性を届けることができるのかな・・・と、暗い自分を棚に上げてポジティブに考えています。
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自分の手で何かを成し遂げ、誰かに伝わる・・・。小学生だった頃、写生会で一生懸命描いた絵で賞をもらった。原点である、と強く思う。人の喜びや嬉しさには、本来、デカイ規模も組織も必要ないんだ。
賞よりも嬉しかったのは、やっぱり「俺の作った物が、俺の大切な人に、少しでも感動を届けられたこと」だった。
・・・俺自身、今のバーズアイを観ているといろんな思いが交錯するよ。
だって、ここに在るのはただのモノではないんだ。渡り鳥の目は、俺の何年にも渡る旅の中で見てきた風景と、そこで出逢った大切な人への俺の想いを映し出しているから。鳥の目は、俺の人生だから。
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旭川から異国の地・京都へ、北海道に戻り、そして最後にカオスの地・東京へ・・・。
俺の人生は、誰かに幸せや感動を少しでも届けることができる代わりに、自分自身はいつまでも触れることのない幻を追い、やっと掴みかけた時に風景が変わる・・・そんな流浪の民のような人生なんだろうと思います。それはきっと運命で、だとしたら、俺は今以上に凄い旅芸人になりたいと思います。これはきっと諦めではないはずです。
2002年9月22日 20:18 晃太郎
モスバーガーでホットコーヒーを啜り、
フレッシュバーガーとマスタードチキンバーガーを頬張りながら
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