カレーライス、カレーライス

カレーライスが大好きだ。殆ど病的といっていい。もしも一週間カレーだけを食べさせるという罰があったなら、僕は喜んで罪を犯そう。もしもカレー王国という国があったなら、僕はそこに永住するだろう。

高校の頃付き合っていた彼女に好きな食べ物について訊ねられて、カレーライスが好きだと答えたら「子供じゃあるまいし」とクールな感想が帰ってきた。うーん。
 そういえば、僕の高校の向かいには「米米亭」というカレー屋があってそりゃもう頻繁に通った。今でも、帰省する度に一度は行っている。ここのカレー屋の特徴のひとつは「エコカレー」という学生(たぶん高校生)限定のカレーがあるということだ。いくらだったか忘れっちゃたし、今では値段も上がっているとは思うけどとにかく安くて僕らはこれにコロッケを付けてもらってガツガツ食べたものだ。まあ、安いだけあって具は最小限に押さえられた挽肉ベースのカレーなんだけど、当時の僕はそればかり食べていた。今ではビーフカレーとかちょっとリッチなものを頼んでるけど。いや、この顔で高校生ですって言うのはねえ。
 もう一つの特徴は、とんこー生(僕の高校の生徒を指す)の間では伝説となっていると思うが、「超極」である。これ...辛さのことなのだけど、今年('98)の夏に行った時にメニューを見たんだけど辛さは普通を真ん中にした五段階で、一番上が極辛までしかなかった。ということはとんこー生が間違えて認識しているのか、本当に極辛を超えた辛さが隠しメニューとして存在するかのどっちかだ。僕も一度、友達と一緒にどっちが早く食べ終えることが出来るか勝負したことがあるのだけど、途中から勝負うんぬんではなくなってきて、僕は早く食べ終えて無事生還したいとまじで思った。結局、僕は一時間半かかって完食した(ちなみに友人は一時間。負けた。審判役の友人に一口食べさせたが、そっこーで爆死)。今までいろんな極辛物を食べてきたけど、未だ「超極」を越える代物にはお目にかかってない。

 カレーは自分でもよく作る。
 普段はとろいとかやる気ないとか貴重なご意見を頂戴している僕だが、カレーを作る手際の良さだけは半端じゃない。界王拳10倍である。
 鍋いっぱいに作る。一応作り置きという名目である。きっと皆さんもそうするでしょう?でも、鍋いっぱいのカレーはその日のうちに必ず僕の胃の中に収まってしまう。全然作り置きじゃない。たとえお腹一杯になっても、しばらくするとまるで呪いにでもかかったかのように食べ始める。生命の危険すら感じるので最近は子鍋にちょびちょび作るようにしている。カレーライスの食べ過ぎで部屋の中で一人さびしく死んでいくのって、大晦日の真夜中に自転車で雪道を走っている途中に力尽きて死ぬのと同じくらい、僕の中では最も避けたい死に方だ。
 カレーライスを作るのはけっこう楽しい。いつも、その時々に聴きたい音楽をかけながら鼻歌混じりに手を動かす。食材を炒めると、僕の食の欲望を喚起させる匂いが鼻孔を刺す。市販のルーを割り入れると、待ち焦がれたカレーライスとの対面までもうすぐだ。ルー、考えてみると、僕はハヤシライスもかなり好きだし、ビーフシチューも然り、なんだかルーものに弱いらしい。お子様と呼ばれるのも無理ないか。ま、好きなように呼んでくれー。